神崎聡(こうざきさとし)夢からはじまる
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「お前には、親父の気持ちがわからんやろう!」

「お前には親父の気持ちがわからんやろう!」 この言葉は父次彦が亡くなる2ヵ月前に僕に話した言葉だった。敏代お祖母ちゃんの実家(上毛町宇野)に日義お祖父ちゃんがつくったケヤキのタンスがあり、それを引き取ってトラックで運ぶから、お前も一緒に手伝えと言われた。昔のタンスだから古いけど磨けば立派になると話していた。僕は、「家のどこにそれを置くんかい?置く場所ないやん。」と答えると、「もういい!お前には頼まん!」と怒られ、「お前には、親父の気持ちがはわからんやろう!」「いいか!(タンスを)捨てることならんぞ!」と釘を刺された。

結局、親父は一人でケヤキのタンスを運び出し、添田町にある梶原家具店で磨いてもらい修繕してもらった。そして、平成11年11月10日お祖母ちゃんの実家の近くの豊前市で、JR架線に釣り竿で感電して(親父へ)・・・亡くなってから1ヵ月ぐらい経って梶原家具店から見事に蘇ったタンスが届けられた。僕は涙が止まらなかった。なんであの時、一緒にタンスを運ぶのを手伝わんやったのか、親父は僕に歯がゆい思いをしたやろうなぁ〜と悔やんでも悔やみきれなかった。家が類焼で丸焼けになったけど、タンスは30年前の裏の家に置いていたから大丈夫だった。

タンスを見るたびに、「お前(聡)には、(俺の)親父(日義おじいちゃんへ)の気持ちがわからんやろう!」とあの声が聞こえてくる。


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