大前式定年制
予算特別委員会で「教職員の再任用について」質問したけど、この4月から「改正高齢者雇用安定法」が施行され、希望者全員を65歳まで雇用する制度の導入が企業に義務づけられている。これに伴って65歳定年制を導入する企業も増えてくると報道であった。超高齢化社会になってくる(なっている)から、高齢者の方がはつらつと活躍できる場や現役で働いていける環境はとても大事なところであり、豊かな長寿社会の実現に向けて官民挙げて取り組んでいく事が大事だと思う。ただ、この改正高齢者雇用安定法が改正されたそもそもの理由は、これまで60歳から支給されたいた年金の受給開始年齢が段階的に65歳に引き上げられることによって生じる年金の空白期間を埋めるための措置であり、要は定年後に年金も給与も受け取れない人が増えるから、それを防ぐための制度なんだと思う。多分、多くの企業では総人件費の抑制のため人事制度や給与制度を変更することになると思うけど、結局、65歳まで働く場を提供することによって、60歳以下の社員の給与総額を圧縮することになるんじゃないかと容易に想像できる。昨日(6月3日)、政府の社会保障制度改革国民会議で、公的年金制度について、支給開始年齢の引き上げなど給付抑制策の検討を盛り込んでいる。記者会見では、「少なくとも67、68歳への引き上げはあってしかるべきだ」と必要性を強調している。 豊かな長寿社会の幕開けといっても、先行き不安な社会が待っているのではないかと多くの人はそう思っているんだと思う。何かいい方法はないものか?と思っていたら週刊ポスト3月15日号に大前研一先生の連載「ビジネス新大陸の歩き方」にいいヒントがあった。「大前式定年制」これだ! 私の提案は、定年を65歳に引き上げるのではなく、「50歳前後に引き下げる」という方法だ。こうした発想は、昨日今日思いついたものではない。私がマッキンゼー時代に導入した独自の定年制度がある。それは従来からの60歳定年制は残したまま、「年齢+勤続年数=75歳」を過ぎたら、いつでも定年退職できる、というものだ。
たとえば、あなたが23歳で会社に入り、49歳を迎えたとする。その場合、勤続年数は26年だから「49+26=75」で、めでたく正規の退職金を全額もらって定年退職できるのだ。実際、私は自分でつくったその制度を使い、50歳になった年(51歳になる前)にマッキンゼーを定年退職して第二の人生をスタートした。
日本企業も、この「大前式定年制」のようなシステムを導入し、65歳定年制とどちらかを選択できるようにすべきだと思う。たとえば50歳で辞めた人には、50歳で昇給が止まったとして65歳まで15年分の生涯給与を払ってしまうか、年金として65歳まで払い続ける。
そうすれば、50歳から他の会社に再就職して給与が半分になったとしても十分、暮らしていける。あるいは、「大前式定年制」で辞めた場合に最も多く退職金が出るようにして、それ以降、長く会社にいればいるほど退職金が減るようにする方法もあるだろう。
いずれにしても“最初の定年”を引き下げれば、日本は活性化する。なぜなら、日本は大企業が人材を抱えすぎていて、中小企業は人材が足りないからである。
また、大企業で働いていた人が早めに表に出て、それまでの経験を生かして中小企業や地方の企業に貢献したり、若い人たちと一緒に新しい会社をつくったりしたほうが、元の会社で“生ける屍”になって飼い殺し状態に甘んじるよりも、絶対に日本のためになる。また、そういう覚悟で最初の15×2=30年を過ごすほうが、若い人にとっても気合いが入るだろう。
※週刊ポスト2013年3月15日号
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2013/06/04 09:30
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