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福岡11区、自民公認問題決着(西日本新聞朝刊)

=2009/08/02付 西日本新聞朝刊=

自民が分裂選挙を回避した衆院福岡11区。小選挙区は武田良太氏、比例代表は山本幸三氏をそれぞれ公認する前職2人のすみ分けが実現し、過去5回連続同じ選挙区で激突した因縁の対決からの「大転換」となったが、党裁定から一夜明けた1日、地元の支持者の困惑は深まり、一方の野党側は守勢の自民に攻勢を強める構えをみせた。

 「お許しを請いたい」‐。山本氏は豊前市などで開いた集会で、支持者に土下座を重ねた。

 「古賀誠先生(党選対本部長代理)から『党への逆風が厳しく共倒れの可能性がある。党裁定に従ってもらう』と言われた」「党の結束を乱せない」。後援会事務所開きの集会も「おわびの会」と化し“比例転向”への弁明に時間を割いた。

 党執行部は逆風下で議席を失うことを恐れ、2人を無所属同士で競わせる分裂選挙の容認方針を回避。小選挙区と比例代表のすみ分けで2人の共闘に期待する。

 ただ両陣営関係者は「寝耳に水」の裁定に、一様に困惑の表情。山本氏支持の町議は「失望感でいっぱい。『山本氏はふがいない』という声もある」。ある市町村議会の議長は「双方の支持者同士には怨念(おんねん)がある。『きょうから仲良く』と言われても厳しい」と語り、首長の1人は「1+1=2の『武田圧勝』は無理」と断言してみせた。

 党裁定は1回限りのすみ分けを決めた「協力区」の位置付けだ。それだけに比例代表の上位で処遇されるとみられる山本氏は「小選挙区を完全に捨てていない」(周辺)との見方も。山本氏は、この日の取材に対し「2人が当選すれば(競合の)現状が続く。当然、小選挙区を目指す」と踏み込み、「次の次」の衆院選を見据えた。

 これに対し武田氏は「戦い方は変わらない」と強調。力を入れてきた「小選挙区は武田、比例は公明」の与党選挙協力を維持する意向も表明。比例代表への重複立候補を辞退したい考えも示した。山本氏ではなく公明への配慮とみられ、山本氏との共闘には「分からない」と言葉少なだった。

 11区は、武田氏に対し、民主の支援を受ける社民の山口はるな、共産の山下登美子の新人2氏が挑む構図となり、政治団体「幸福実現党」も新人を擁立する。社民党県連合幹部は「山本陣営から武田陣営には簡単に票は流れない。さらに追い上げたい」。山下氏は「自民対野党の対決構図がはっきりして、戦いやすくなった」と意気込んだ。


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