読売新聞の朝刊(平成25年9月4日)、「自治体クラウド」県内導入へ・全国最多33市町村参加予定。県は、政令市を除く県内58市町村のうち、久留米、筑紫野両市など33市町村が、個人情報などのデータを外部のデータセンターで保存、利用する共同システム「自治体クラウド」のネットワークを構築すると発表した。災害対策とコスト削減が期待される。各市町村が順次参加し、33市町村による本格運用は、2016年度スタートを目指す。 33市町村は「ふくおか電子自治体共同運営協議会」であり、実はここのコンサルタントをしていて、これまでも一般財団法人全国地域情報化推進協会(アプリケーション推進協議会)やOSAC(オープン・スタンダード化推進協議会)、県の共通基盤に関わってきていて、専門分野ということで特に突っ込んだ質問をしていた。 これも、県議会本会議で質問したのに応えたものであり、初めて質問に立った県議会6月定例会一般質問(平成23年7月1日)で、成長戦略のかぎを握るICT戦略についてまず質問した。 ○質問:神崎聡議員 成長戦略のかぎを握る二点目の質問は、ICT戦略と今後の自然エネルギー政策、電力政策の取り組みであります。私も民間の立場から、豊かな福岡県の実現、世界に開かれた福岡県の実現を目標とした、新ふくおかIT戦略にかかわっていました。特に、前知事がマニフェストに掲げていました県民所得の向上を実現するためのICTの利活用には、大きな期待をかけていました。世界に開かれた福岡県の実現では、確かにアジアンビートの拡充やモバイル対応の多言語のウエブサイト構築等で目をみはる成果があったと思います。ただ、地域力向上のためのIT活用策の実施、利用者視点のワンストップサービスの推進、多様なライフスタイルの提供では、期待していたほどの大きな進展が見られなかったんじゃないかと思うんです。新ふくおかIT戦略も四年目を迎えています。日本をリードするICT立県にふさわしい、新たなICT戦略を構築しなければならないと思いますが、知事の所見をお伺いします。 また、今度の東日本大震災において、ICTインフラも大きな問題になりました。今後、被災地の復興はもちろん、日本全体が力強く復活していくために、ICTとICT産業が果たす役割は大きいものと思います。所有から利用へと、クラウドコンピューティング化の流れはこれまでもありましたけれども、今回の震災を受け、その流れは加速することになると思います。クラウド化のメリットの一つは、迅速なシステムの立ち上げが可能であることにあり、今回の被災した自治体、教育機関、医療機関等でわかるように、今後は業務を迅速に復旧させることを必須条件にしたシステム構築にしなくてはなりません。 もう一つのメリットは、業務の継続性であります。耐災害性にすぐれたデータセンター側にデータ及びシステムやアプリケーションを置くことで、今後、自治体や医療機関、企業自身が甚大な被害を受けたとしても、ネットワークとパソコンさえあれば業務は継続できます。また、データセンター自体の耐災害性を一層強化するため、データの保存先の多重化、電源の多重化は不可欠であり、今後省電力化を推進するグリーンデータセンターへの取り組みを加速させなければならないと思います。 そこで知事に質問です。新ふくおかIT戦略の中で、利用者視点での先駆的ワンストップサービスを実現するため、異なるシステム間で情報をやりとりする情報基盤の構築と市町村共同利用の推進を実施することになっていましたが、これらの実施状況と今後の取り組みについてお尋ねいたします。 ○答弁:小川洋知事 IT戦略の見直しについてでございます。最近では高速大容量の携帯端末、それからクラウドコンピューティングが普及するなど、情報通信技術の発展は目覚ましいものがございます。特に、大震災以降、社会、経済情勢も大きく変化をしているところでございます。一方、こうした状況のもとで国は昨年の五月に、医療、教育分野などにおきます地域のきずなの再生や新市場の創出と国際展開を内容といたします新たな情報通信技術戦略といったものを策定したところでございます。こうした状況のもとで、県におきましても大きな時代の変化に即した今後のIT戦略について検討しているところでございます。 次に、利用者視点の電子自治体についてお話がございました。単独市町村においてワンストップサービスが可能となります情報基盤の構築につきましては、残念ながら財政状況等の面から進んでいないというのが実態ではないかと思います。一方で、市町村の共同利用につきましては、大きなコスト削減効果がございまして、県と県内市町村で構成いたします、ふくおか電子自治体共同運営協議会、この場におきまして既に電子申請システム、データセンターを共同で実施しているところでございます。さらに、今後の地方分権の中で権限移譲が進んでまいりますと、それに伴いまして市町村の事務の共同処理というのはますます必要になっていくだろうと思います。その共同処理が見込まれるところから、この共同利用システムにつきましては、今まで以上に市町村に普及していくことが期待されるのではないかと思っております。このため、市町村の共同利用システムにワンストップサービスの機能を備えさせることによりまして、コスト削減効果と利便性の一層の向上というのが図られ、電子自治体をより一層推進することができるのではないかと考えております。これらを背景にいたしまして、引き続き市町村の共同利用というものを広げていきたいと考えております。 また、平成23年9月定例会一般質問では、「社会保障と税の一体改革について」の中で、共通番号制について質問している。 ○質問:神崎聡議員 安心、安全な番号制度が担保されていなければなりません。番号制度により個人情報の有用性が高まり、情報の漏えい、乱用の危険性も高まります。また、国家管理への懸念、個人情報の追跡や、財産その他の被害への懸念等、これまで以上に個人情報の保護を確保しなければなりませんから、制度上の保護措置、システム上の安全措置を講じなければならないと思います。共通番号制度導入に関し、知事の御所見をお伺いしたいと思います。 ○答弁:小川洋知事 この番号制度を、特に御指摘のような各分野でも広く活用する、そういったことを考える場合にはなおさらでございますが、国民にとって安全、安心なものとするためには、第三者機関による監視、あるいは罰則強化など制度上の保護措置、そして個人情報の暗号化などシステム上の安全措置が重要となります。そのため、知事会におきましても、国民の不安を払拭し、信頼される社会基盤としての番号制度が導入されるように、十分な個人情報保護方策を確立するように国に求めているところでございます。 ○再質問:神崎聡議員 番号制度についてですが、今、知事、御答弁いただきましたように、この番号制度は、地方分権社会の礎となる社会インフラなんです。市町村や民間企業も含めた研究会あるいは戦略会議を設置していくことで大いに議論していくべきだと思います。六月定例会で質問いたしましたけれども、福岡県の共通基盤の整備や福岡県の自治体クラウド化を推進するコンソーシアムを早急に設置していただき、システムを構築することで、ベンダーロックされた市町村の負担を軽減すると同時に、地方分権への流れをつくらなければならないと思います。新しい日本をつくっていく、地域主導による真の分権社会を構築するためには、ここは避けて通れません。私たちの社会基盤を決めるこの制度を県民一人一人の問題として大いに議論できる環境をつくっていただきたいと存じます。 また、平成24年2月定例会一般質問で、「サイバー空間における情報セキュリティ対策について」、サイバー空間の脅威に対して、本県として、どのような情報セキュリティー対策を講じているのか質問をした。地域医療ネットワークセキュリティや警察本部におけるサイバーテロ対策、学校現場におけるセキュリティリテラシー、情報セキュリティの官民連携と情報産業(IT産業)の推進と多岐に渡り質問したけど、クラウドに関しては、福岡県共通基盤の整備や福岡県の自治体クラウド化を推進する一環として、県立学校もこのクラウド化を進めなければならないと思うが如何かとの投げかけをした。 ○質問:神崎聡議員 今後の新たなIT戦略のキーワードは、クラウドコンピューティングとこのネットワーク情報セキュリティーだと思います。情報セキュリティー技術者の育成に力を注ぐことで、本県はセキュリティー先進県として、情報、人材、データセンター等のネットワーク企業や研究機関の投資や集積が期待されてきます。インターネットの爆発的普及、クラウドコンピューティングの浸透、スマートフォンなどのデバイスの多様化等、ITのメリットを生かして企業価値や行政サービスの維持向上を図る上でも、情報セキュリティー戦略の遂行が極めて重要になってきます。産学連携や人材育成等によりITのクラスター化を図り、差別化されたIT立県を目指し、情報産業を強力に推進していただけますよう要望いたしまして、私の一般質問を終わります。 ○答弁:杉光誠教育長 県立学校におきます情報のクラウド化についてでございますが、各学校の電子情報を一元的に管理、運用することとなる情報のクラウド化につきましては、個人情報など重要情報の情報漏えい防止の効果に加え、校務の効率化に有効な面もあると考えられます。このため、今後、クラウド化に係る先進事例の情報収集や事例研究を行ってまいりたいと考えております。 福岡県議会のホームページに会議録の閲覧と検索で「自治体クラウド」と検索入れるとその成果がよくわかる。
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