平成28年度予算特別委員会(企画・地域振興部所管分)〜過疎地域における公共交通(鉄道)の利用促進
「過疎地域における公共交通、鉄道の利用促進について」鉄道駅を拠点とした街づくりと鉄道を活用した地域振興の観点から質問致します。
人口減少、少子高齢化、車社会によりまして、公共交通・鉄道事業をとりまく環境は、年々厳しさを増しております。
過疎地域においては、鉄道利用者の減少や本数の縮小、サービス水準の一層の低下が懸念される中で、平成26年5月に、「地域公共交通の活性化及び再生に関する法律」が一部改正され、まちづくりと一体となった持続可能な地域公共交通ネットワークを実現するための枠組みが作られたところです。しかしながら、現実は、これと大きくかい離しております。
(神崎) 先日、JR九州が、日田彦山線の石田駅などを無人化するという発表がありました。JR九州は、来年度中に予定されております完全民営化・株式上場に向けて、鉄道事業の人件費を削って、鉄道事業の赤字を縮減し、収支改善を図るのが狙いだと思いますけれども、JR九州は、どのような基準で、無人化とする駅を対象としているんでしょうか?無人駅の現状についてお尋ね致します。
(交通政策課長) JR九州からは、無人化の明確な基準はなく、駅の乗車人員に加え、定期券利用率や切符の売り上げ、駅周辺の住宅や商業施設の状況などを総合的に勘案して、無人化する駅を選択していく方針であると聞いている。しかしながら、JR九州は、無人化する駅の自治体説明等において、1日乗車数が700名以下の駅を目安としていると説明しており、700名が一応の目途となっているものと思われる。
(神崎) 私の地元田川でありますが、田川地区を南北に走るJR日田彦山線の有人駅が急速に減っております。JR九州は、一昨年7月の香春駅、昨年3月には添田駅を無人駅にしました。そして今度は、豊前川崎駅を、無人駅にするという意向を、JR九州は川崎町に昨年の8月に伝えていたようです。川崎町では検討を重ねた結果、簡易委託方式を採用する予定だと聞いておりますが、豊前川崎駅について、県としてどのような支援をしてきたんでしょうか?お尋ね致します。また、県は、JR九州に対して、無人駅化に対してどのような要請を行ってきたんでしょうか?
(交通政策課長) 県は、昨年の8月に川崎町から相談を受け、JR九州内で無人化した駅の対応状況や、無人化せずに市町村に業務委託している事例などの情報提供を行うとともに、JR九州に対し、「九州地域鉄道整備促進協議会」などで「豊前川崎駅舎有人体制の存続」について、要望を行った。
(神崎) それでは、昨年3月14日に無人駅になった添田駅ですが、どのような経緯だったのか教えて下さい。
(交通政策課長) JR九州によると、平成26年9月に添田町の自治体職員に対して、無人化を行いたいとの説明を行い、添田町から了解を得た。その後、添田町からJR九州に対して、駅存続等の要望もなかったため、予定どおり平成27年3月14日に無人化したものと聞いている。
(神崎) 正直に申しますと、私はまったく知りませんでした。県も情報が入った段階で、地元選出県議に報告して頂ければと思います。豊前川崎駅では、事前に無人化の情報をキャッチし、川崎町が、JR九州に、無人化を延期するように交渉・要望していたということです。結果としては川崎町が引き継いで、何とか有人駅として存続していくことになるようです。そこには、町の玄関口である駅の無人化は、地域活性化に逆行し、地方創生・まちづくりの議論を根底から覆すことに繋がってくるという、危機感があったからだと思います。駅の重要性について、県はどのように認識しているんですか?
(交通政策課長) 駅に、医療や福祉、商業という機能が集まることは、今後の高齢化の進展を踏まえた場合、利便性を高め、誰もが住み慣れた地域に暮らし続けることを可能にするもので、地方創生にも資すると考える。
(神崎) 先程申しましたように、駅は町の玄関口であり、顔であります。過疎化が進む地方の生き残りは、駅の再開発にかかっていると言っても過言じゃないように思います。 無人駅となった駅舎の活用やJRからの譲渡、あるいは、駅を街づくりの中核に据えた、コンパクトシティを構築するなど、今、課長が言われましたように、鉄道駅を拠点としたまちづくりが、地方創生の起爆剤になるんじゃないかと考えます。 例えば、私の地元添田町役場の庁舎が、老朽化しておりまして、いずれ改築の話が出てくると思うんですが、役場と駅を一体化した庁舎建設も一つのアイデアだと思います。また、小学校の統廃合や小中一貫の課題も抱えていて、学校も含めた公共施設などを、鉄道駅に集約し、街づくりに取り組むことによって、町は、賑やかさを取り戻し、鉄道利用も大幅に増えてくるんじゃないかと思います。香春町役場も香春駅と隣接しています。駅・線路を挟んで小学校もあり、香春駅を中心に都市計画を考えることで、町も活性化できるんじゃないかと思います。
こういった地域構想に立って、県が、町とJR九州との協議の場をセッティングしたり、その役割を担って頂き、街づくりのための交通政策を考えて頂ければと思いますが、これは是非、部長の方から答弁をお願いできればと思います。
(交通政策課長) 県では、住民の利便性に配慮した、地域密着型の公共交通体系の確保のため、県や市町、民間団体等で構成する「福岡県地域交通体系整備促進協議会」において、これまでも、JR九州に対し、「まちづくりと一体となった地域公共交通の活性化に資する取組みへの協力や助言」を要望しているところである。こうした取組みに加え、今後、地元の意向を踏まえ、県として出来ることがあれば対応してまいりたい。
(神崎) ありがとうございます。できることあれば対応するという事ですので、対応しなければならないことは山のようにあると思います。とにかく、みんなで力を合わせて頑張っていきましょう。 昨年4月1日にJR日田彦山線・採銅所駅が、開業100年を迎えました。知事もふるさと訪問で、採銅所駅を訪れて頂きましたが、駅舎は1915年(大正4年)に建てられた寄せ棟造りの近代洋風木造で、日田彦山線の前身である小倉鉄道開通時からの姿を伝えております。 また、平成筑豊鉄道は、120周年、我が国の鉄道の歴史の中でも最も古い歴史を有している一つです。九州最古の「第二石坂トンネル」や「内田三連橋梁(きょうりょう)」といった、我が国の鉄道技術を伝える資産も多くあります。是非、このような鉄道施設の文化財としての価値を見直し、活用すべきだと思います。県として 鉄道を活用した地域振興についてお尋ね致します。
(交通政策課長) JR日田彦山線や平成筑豊鉄道は、筑豊炭田の石炭輸送を目的として、造られたものであり、駅舎やトンネル、橋梁などの歴史的価値のある施設が数多く残されている。
これらの鉄道を再評価し、「産業遺産」や「石炭遺産」とストーリーで結んだ鉄道による観光ルートを開発することも検討してまいりたい。
(神崎) 2月18日、JR九州は日田彦山線に「ゆふいんの森号」を走らせました。店員150名が3日間で完売したそうです。当日は、周辺市町村の温かいおもてなしもあり、乗客は大変満足したと報道がありました。私は「ゆふいんの森号」が走った時、ちょうどタイ・バンコクにおりましたので、残念ながら見ることができませんでした。ただ、地域の皆さんがfacebookなどのネットでアップされていましたので、盛り上がったのがよくわかりました。こんなにも盛り上がるんでしたら、SL蒸気機関車や「ななつ星」の新ルートに日田彦山線・平成筑豊鉄道で走らせる企画を立ち上げ、地域が一丸となった取り組みをすることで、地方創生へと確実につながっていくんだと思います。いろいろ課題はあると思いますが、是非、前向きに考えて頂けませんか。
(交通政策課長) 御指摘の点も含めて、今後、県が中心となり、沿線市町村だけなく鉄道事業者はもとより、商工会や観光協会など、これまでにない広範囲の地域主体と協議する場の設置について検討してまいりたい。
(神崎) ありがとうございます。答弁内容は、とても前向きで、積極的な答弁だと思います。今の答弁を聞けば、田川の皆さんも勇気が湧いてきて、大きな希望を持つことができるんだと思います。 おっしゃる通り、まず、田川広域観光協会に話して頂き、周辺の自治体に声をかけて頂くことから始まると思います。そして、北九州市・大分県にも要請し、JR九州との交渉を進めて頂ければと思います。
最後にですね、JR九州並びに平成筑豊鉄道に要望して頂きたいことがあります。平成筑豊鉄道は株主であり、知事が取締役会長ですから、検討して頂くということですね。
私は、過疎地域における交通政策の切り札は、ICカードの導入だと思います。既に全国10種類の交通系ICカードの相互利用が、昨年3月より始まっています。九州では、JR九州のSUGOCA(スゴカ)、福岡市交通局のはやかけん、西日本鉄道のnimoca(ニモカ)があります。ご承知の通り、ICカードは約20万店の加盟店で電子マネーとしても使用できます。 お年寄りも方も小銭を持たなくていいし、定期券を落としても手数料だけで再発行ができます。是非、実現するように、要望して下さい。これで、質問を終わります。ありがとうございました。
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