| 決算特別委員会(令和6年10月3日)総括質疑審議(全文掲載)
(半導体産業の振興と人材育成について) 自民党県議団 神崎 聡

自民党県議団の神崎聡です。総括質疑は、「半導体産業の振興と人材育成について」の質問を致します。
近年九州では、半導体に関連する大型投資案件が相次いでおります。熊本県では、半導体前工程の世界最大手TSMC社が進出し、年内に本格稼働を始めるとのこと。このほか、佐賀県では、シリコンウェハ製造の世界最大手SUMCO(サムコ)が。鹿児島県では、半導体製造装置の部品を供給する京セラが、それぞれ工場を増強するなど、多くの企業で新たな設備投資が行われています。
本県においても、先日、半導体後工程の世界最大手ASE社が北九州市との土地売買の仮契約を締結し、進出を検討しているとの報道があったところであります。
また、先月福岡で開催された九州初の半導体に特化した大型展示会「九州半導体産業展」では、九州の企業を中心に260社を超える企業が出展し、2日間の会期中、国内外から新たなビジネスを求めて、7,000人を超える方が来場されたようです。想定を大きく上回る反響を受け、来年度は規模を今年の倍にして開催することを決定するなど、九州の半導体産業は、まさに沸騰という状況にあると言えます。
ただ、ひとくちに半導体産業と言っても、半導体産業は裾野が広く、多種多様な数多くの関連業界から構成されています。

問1 このような中、福岡県には、画像センサーの「ソニーセミコンダクタソリューションズ」、パワー半導体の「三菱電機」といった世界トップシェアを誇る企業をはじめ、多くの半導体関連企業が集積しています。
また、「トヨタ」「日産」「ダイハツ」といった自動車産業や、産業用ロボット大手の「安川電機」など、半導体のユーザー企業も多く立地しており、半導体産業は本県経済を支える産業分野であると考えます。
そこでまず、県政を進める上で、本県の半導体産業は、どのように位置づけられているのかお尋ね致します。
(企画・地域振興部答弁)
〇 本県では、県政推進の指針である総合計画において、「世界を視野に、未来を見据えて成長し、発展する」の柱を立て、成長産業の創出に取り組んでいます。
〇 半導体産業は、デジタル、グリーンの動きを背景に、世界的な活況を呈しており、我が国でも多くの投資案件が計画・実行されています。
この半導体産業の“熱量”を取り込んでいくことは、関連企業の成長に加え、県内中小企業の新たな事業展開、雇用の創出に寄与する。
さらに、ヒト、企業が集積することで、イノベーションによる新たな製品、技術が開発され、企業の発展をもたらす好循環が生まれることが期待されます。
〇 また、今年度当初予算の3本柱の1つである「県内GDP20兆円への挑戦」に当たっても、半導体産業を振興していくことは、極めて重要な取組であると考えています。
問2 今、半導体産業の振興は、県政を進める上で極めて重要であると言われました。半導体産業の振興を図るため、服部知事は、令和4年2月、「福岡県グリーンデバイス開発・生産拠点構想」を打ち出しています。この構想の概要について説明をお願いします。
(商工部答弁)
〇 この構想は、本県には、
・世界トップシェアの企業を含め、設計、製造、材料など幅広い半導体関連産業が約400社集積していること
・九州大学や九州工業大学、3つの高等専門学校など高度人材を育成する教育機関、半導体分野に強みを持つ研究開発支援機関が集積していること
などの強みがあることを活かして、ここ福岡県が、省エネルギーに直結するパワー半導体などの「グリーンデバイス」の一大開発・生産拠点となることを目指し、掲げたものです。
〇 現在、この構想の下に、�ヾ覿箸陵驚廖↓▲汽廛薀ぅ船А璽鵑龍�化、��人材の育成 の3つを柱にして、様々な取組を行っております。
問3 今、課長から構想を実現するための取組として、3つの柱について様々な取組を行っているとのことでした。
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この一つ目の柱である「企業誘致」については、私も、産業振興を図るうえで極めて重要な取組だと考えます。冒頭申し上げたように、半導体後工程世界最大手のASEが北九州市への進出を検討しているということであります。これが実現すれば本県、九州の半導体産業にどのような意義・効果があるのかお尋ねします。
(商工部答弁)
○ すでに熊本県に「前工程」を担う世界最大手のTSMCが進出し年末には本格稼働を予定している。これに加え、「後工程」の世界最大手ASEの北九州市への進出が実現すれば、半導体製造の「前工程」から「後工程」までの一連の流れが九州で完結することになります。
○ 地元企業の取引拡大や新規参入、関連企業の更なる誘致などが図られ、本県の雇用拡大と県民所得の向上に加え、半導体のサプライチェーンの強靭化と「新生シリコンアイランド九州」の実現に大きく貢献するものと考えております。
問4 次に、2つ目の柱、サプライチェーンの強化について県では具体的にどのような取組を行っているのかご説明をお願いします。
(商工部答弁)
〇 県では、サプライチェーンの強化のため、「企業の技術の高度化」、「販路拡大」の支援に取り組んでおります。
〇 「技術の高度化」については、令和4年度に、県内中小企業のグリーンデバイスの製品開発に対する助成制度を新たに創設し、支援を行っております。
また、本県は、三次元実装に関して、設計から試作、評価・解析までを一貫して支援する国内唯一の公的機関「三次元半導体研究センター」を有しており、これまで、約260社、約4,000件の研究開発支援を行っております。
〇 「販路拡大」については、昨年度から、半導体取引拡大アドバイザーを設置し、県内外の企業とのマッチング等を支援しております。
また、先月開催された「セミコン台湾」や「九州半導体産業展」をはじめとする国内外の大型展示会への出展支援も行っております。
問5 企業の誘致、サプライチェーンの強化、いずれの柱もそれを支える人材が極めて重要であります。また、九州では「半導体人材は奪い合い」という報道もあり、喫緊の課題であると考えられます。3つ目の柱である、人材の育成について、県では企業が求める人材の育成について、どのような取組を行っているのか。また、半導体産業の将来を支える人材の育成も必要ではないかと考えますが、将来を担う子供たちに半導体産業へ目を向けるように、具体的にどのような取組を行っているのかお尋ね致します。
(商工部答弁)
〇 昨年8月に開設した「福岡半導体リスキリングセンター」では、半導体を「作る側」、また、「使う側」の講座体系を整備し、企業のニーズに応じて、受講者のレベルに応じた講座を準備し、幅広く人材を育成しております。5年間で25,000人の人材を育成することを目標に掲げていたところ、開設から1年間で、7,000人を超える方に受講いただております。
〇 また、将来を担う子供たちに半導体分野へ目を向けてもらうためには、進路を選択する時期の中学生や高校生に、半導体分野の魅力や将来性を知ってもらうことが重要です。
〇 そのため、昨年度からキッザニア福岡と連携し、最先端の研究を行う大学教授から身の回りで使われている半導体について学ぶ講座や世界トップレベルの技術を持つパワー半導体工場の職場体験などを体験する「テクノロジー人材創生塾」を開催し、受講者からは大変好評をいただいているところです。
問6 半導体産業の発展には、技術力を持った人材の育成が不可欠であると、商工部の取組については説明がありましたが、最初に申しましたように、半導体産業は、広い裾野をもち、多種多様な数多くの関連業界から構成されています。
例えば、皆さんもスマホを持っていると思いますが、私はiPhoneなんですが、このiPhoneにはどのくらいの半導体が組み込まれているかご存じですか。
おおよそ1200個前後の半導体が組み込まれています。トランジスタにおいては、(トランジスというのは、半導体チップの中に含まれる基本的な構成要素ですが)、そのトランジスタの数は160憶もあるようです。
半導体はメインプロセッサやメモリチップ、カメラなどセンサー関連チップなど、様々な機能を実現するために使用されています。
また、アプリ開発やソリューションビジネスなど、この小さなスマホの中に、あらゆる社会基盤を支える機能が備わっていて、これも一つの半導体産業だと言えます。従いまして、半導体に携わる人材というのは、かなり広範囲な業種・業界で必要とされ、次世代半導体を考えた時、求められる人材やスキルも刻々と変わってくるものだと私は認識しています。
では現在、学校現場において、半導体分野で必要なスキルや知識を備えた人材を育成するために、県立高校ではどのような取組を行っていますか。併せて、企業との連携や、地域の産業ニーズとのマッチングについてもお聞かせ下さい。
(教育庁答弁)
○ 県教育委員会では、半導体関連産業を担う人材を育成するため、商工部と連携し、県立工業高校のうち電気電子系学科を置く11校において、生徒の興味関心を向上させるため、半導体関連企業への企業訪問を実施するとともに、生徒の企業での技術研修や、高度熟練者を学校に招いての実習指導などを行っております。
○ また、今年度から八女工業高校の「自動車科」を「IT自動車科」に改編して、燃料電池自動車など実習環境を整備し、半導体人材育成の拠点とするとともに、筑後地区の工業高校3校で自動車・半導体関連企業におけるインターンシップ等を実施しております。
○ さらに、半導体関連企業など成長が見込まれる県内技術系企業と学校をつなぐコーディネーターを配置するための経費を9月補正予算に計上させていただいており、全ての高校の進路担当教員を対象に、県内技術系企業の魅力を紹介する研修会を実施することとしています。
○ 今後も、半導体関連産業の求める技術・技能に対応できる人材を育成できるよう、産業界のニーズを的確に把握しながら、教育内容の充実に取り組んでまいります。
問7 現在、工業高校向けに取り組んでいるとのことですが、たしかに半導体産業において必要とされるスキルは、物理学や化学などの理系分野の基礎に加え、プログラミングやデータ解析などのデジタル技術なんだと思います。そして、これらの科目の充実はもとより、工業高校の生徒に限らず、半導体産業を目指す生徒にとっては、問題解決能力やクリティカルシンキングを育む教育が必要であり、大学と連携した教育プログラムの実施も重要だと思います。このような観点での取組についてお答え下さい。
(教育庁答弁)
○ 高校におけるデジタル等成長分野を支える人材育成の抜本的強化を図るため、国の予算を活用して、今年度から「高等学校DX加速化推進事業」を実施しており、情報、数学、理科等の教育を強化する学校において、データサイエンスや数理処理などを学ぶ場合に、必要なデジタル環境等を整備しております。
○ また、九州大学と連携して、理数系科目に対する関心を高め、自ら意欲的に学ぶ生徒の育成を目的とする「高校生科学技術コンテスト」や、課題解決型の探究学習を合宿形式で行う「ふくおか高校生知の創造塾」といった、大学教員の知見を活用した教育プログラムを実施しております。これらの事業では、大学の教員に生徒の実験や議論の様子を見てもらい、生徒への指導助言や、高校教員への指導上のアドバイスをいただくなどの取組を行っております。
問8 高校段階における取組は分かりましたが、その基礎となる力は小中学校段階から育成する必要があると考えます。算数・数学や理科、プログラミングに関して、児童生徒の興味関心を高めるための義務教育段階の取組についてはいかがですか。
(教育庁答弁)
○ 義務教育段階においては、算数・数学、理科に関する知識・技能、思考力、判断力、表現力等を育成することに加え、興味関心を高め、学びに向かう力を養うことが重要。そのため、小学校段階からの科学作品展や、中学生を対象とした「科学の甲子園ジュニア」を実施しているところです。
○ 小中学校段階で必修となったプログラミング教育に関しては、本県が実施する研究事業において作成された、児童生徒の興味関心を惹くプログラミング教育のモデルカリキュラムや授業動画を、県内に広く周知しているところです。また、プログラミングアプリのスプリンギンを活用した「福岡県小中学生プログラミングコンテスト」への参加を促しているところです。
問9 今、県の半導体産業振興に関し、「企業の誘致」、「サプライチェーンの強化」、「人材の育成」という3つの観点から、知事部局及び教育庁の取組について説明を頂きました。
半導体は国にとっても経済安全保障上大変重要であり、また半導体産業は地域の未来を担う成長産業であります。最後に、本県の半導体産業の振興について、商工部長の決意をお尋ね致します。
(商工部長答弁)
○ 令和3年頃から発生した世界的な半導体不足により、半導体はあらゆる産業に不可欠な、経済安全保障上の最重要物資と位置づけられました。
また、カーボンニュートラルの実現に向け、「グリーンデバイス」と呼ばれる半導体が大きな注目を集めています。
こうした動きを受け、県は、令和4年に「福岡県グリーンデバイス開発・生産拠点構想」を打ち出し、「企業誘致」「サプライチェーンの強化」「人材育成」の3本柱で、半導体産業の振興に取り組んでいるところです。
○ この1本目の柱「企業誘致」については、現在、報道されている後工程世界No1企業であるASEの誘致を何としても実現させるべく、 北九州市と連携し、精一杯取り組んでまいる考えです。
このASEの誘致が成功すれば、関連企業のさらなる進出や、県内企業にとっての新たなビジネスチャンスも期待されます。
そこで、県内企業のさらなる技術高度化やビジネスマッチングを支援し、2本目の柱である「サプライチェーンの強化」を図ってまいります。
○ 3本目の柱「人材育成」については、企業誘致を図る上でも、県内企業を支える上でも、極めて重要であると認識しております。
このため、
� 嵎_�半導体リスキリングセンター」を中心に、即戦力人材の育成を強力に推進するとともに、
�◆〔ね茲鮹瓦�子どもたちに、半導体産業を将来の選択肢のひとつとしてもらえるよう、その魅力や重要性を伝える取組を、教育庁としっかり連携し、推進してまいります。
○ こうした取組を通じ、本県が「グリーンデバイス」の一大開発・生産拠点となるよう、しっかり取り組んでまいります。
商工部長から力強い決意をお聞きしました。ぜひ、半導体産業の振興にしっかりと取り組んでいただきたいと思います。
本日は、知事部局、そして教育庁から、半導体産業振興に向けての様々な取組について説明を受けました。
私は、知事が進める「福岡県グリーンデバイス開発・生産拠点構想」を実現させるための「鍵」は、やはり、若い世代、特に子どもたちの興味をかきたてるような取組、言わば、「将来に向けた種まき」に、今のうちから取り組むことにあるのではないかと考えます。
そのためには、産業政策を進める知事部局と、学校教育を担う教育委員会がそれぞれ同じ方向を向き、連携して取り組むように要望します。

2024.10.14 |