| 福岡県議会では現在、
「福岡県議会議員の政治倫理に関する条例(仮称/素案)」について、県民の皆さんからのパブリックコメントを募集しています。
締切は9月30日(水)午後5時必着です。
私も本日、意見を提出しました。
今回、私が特に問題だと考えたのは、
・現在調査が進められている正副議長の選任等をめぐる金銭授受疑惑との関係
・条例施行前の行為を、後から事実が判明した場合に審査できるのか
・行為から「1年」とされている審査請求の期間制限
・「正当な理由」の具体的な基準
・政治倫理審査会や条例制定過程の公正性・中立性
についてです。
特に重要なのは、これから第三者委員会や百条委員会等の調査によって新たな事実が明らかになった場合、この政治倫理条例が実効的に機能するのかという点です。
政治倫理条例は、条例を「作った」という事実だけではなく、将来、どのような事実が明らかになったとしても、議員の立場や権力にかかわらず、公正に検証できる制度でなければならないと私は考えています。
だからこそ、今回のパブリックコメントは大切だと思います。
「政治倫理条例について、自分はどう考えるのか」
県民一人ひとりが素案を読み、それぞれの考えを県議会に届ける機会です。
私が提出した意見も参考にしていただきながら、ぜひ皆さん自身の目で条例案をご覧いただければと思います。
▼福岡県議会
「政治倫理条例(仮称/素案)」パブリックコメント
意見募集の詳細・提出方法はこちら(福岡県議会公式)#8288
https://www.gikai.pref.fukuoka.lg.jp/.../callforopinions...
<締切:9月30日(水)午後5時必着
県民の信頼を本当に回復できる、実効性のある条例にしてほしい。
その思いで、今回の意見を提出しました。

福岡県議会議員の政治倫理に関する条例(仮称/素案)に対する意見書 ←PDFはこちらからです。
【神��聡意見書の解説】
福岡県議会政治倫理条例(素案)に対する意見
私は、福岡県議会における政治倫理の確立と県民からの信頼回復のため、政治倫理条例を制定すること自体については必要性を認めます。
しかし、今回の条例制定に当たっては、現在、福岡県議会において調査が進められている「正副議長の選任をめぐる金銭授受の疑い」等との関係を明確にしなければ、県民の理解と信頼を得ることは難しいのではないかと考えます。
今回の条例案は、その制定の背景として、正副議長の選任等をめぐる金銭授受の疑いなど、県議会の政治倫理に関わる問題を挙げています。
一方で、この問題については、現在、第三者委員会による調査が進められており、さらに地方自治法第100条に基づく調査特別委員会の設置も検討されています。
つまり、条例を制定しようとしている現在、その条例制定の背景となった問題そのものについて、まだ事実関係が確定していないという状況にあります。
私は、ここに大きな課題があると考えます。
1 真相解明と条例制定の順序について
政治倫理条例は、単に新しいルールを作ることが目的ではなく、県議会に対する県民の信頼を確保するための制度であるべきです。
そうであるならば、現在調査中の金銭授受疑惑等について、第三者委員会や百条委員会等によって事実関係が明らかになった後、その結果を十分に検証した上で条例を制定するという方法も検討すべきではないでしょうか。
少なくとも、現在調査中の事案について、
「この条例が制定された後、調査によって新たな事実が判明した場合、その事実を政治倫理条例に基づく審査の対象とすることができるのか」
を明確にすべきです。
条例を制定することによって「改革を行った」という形式だけを整えるのではなく、今回明らかになった問題を二度と繰り返さないために、調査結果を条例に反映させることが重要だと考えます。
2 条例施行前の行為について
今回問題となっている金銭授受等が仮に事実であった場合、その行為は条例制定・施行前に行われたものになります。
しかし、条例制定の背景としてその問題を挙げているのであれば、
条例施行前の行為についても、条例施行後に第三者委員会や百条委員会等によって新たな事実が明らかになった場合に、政治倫理上の審査対象とすることができるのか
を明確に規定すべきです。
「条例施行前の行為だから対象外」という結果になれば、今回の条例制定の背景となった問題そのものが、政治倫理制度の対象から外れる可能性があります。
そのような制度では、県民から見て「今回の問題を踏まえた政治倫理条例」と言えるのか、疑問が残ります。
3 審査請求の「1年」という期間について
条例案では、行為のあった日又は終わった日から1年を経過した場合、原則として政治倫理審査の請求ができないとされています。
しかし、政治倫理上の問題は、行為が行われた時点で直ちに発覚するとは限りません。
今回のように、数年後になって初めて疑惑が表面化し、その後の第三者委員会等の調査によって事実関係が明らかになる可能性もあります。
その場合、
「事実が明らかになった時には、すでに1年が経過しているため政治倫理審査を請求できない」
という制度になれば、政治倫理条例の実効性が失われるおそれがあります。
したがって、審査請求期間については、
#8226「1年」という期間制限そのものを再検討すること
#8226少なくとも、第三者委員会、百条委員会、司法機関等による調査によって新たな事実が判明した場合には期間制限を適用しないこと
#8226条例案にある「正当な理由」の具体的な判断基準を明確にすること
を求めます。
4 刑事責任と政治倫理を混同しない制度にすべき
金銭授受等が事実であった場合、それが刑事上どのような責任に該当するかについては、具体的な事実関係を踏まえて司法機関等が判断する問題です。
しかし、政治倫理条例は刑事責任の有無だけを判断する制度ではありません。
たとえ刑事事件として立件されない、あるいは刑事上の責任を問われない場合であっても、県民の代表として政治倫理上問題がある行為については、議会として検証する必要があります。
したがって、
「犯罪に該当するかどうか」ではなく、「県民の信頼を損なう政治倫理上の問題があったかどうか」を独立して検証できる制度
とすべきです。
5 政治倫理審査会の独立性について
条例案では、政治倫理審査会を設置し、議員以外の者による審査を行う仕組みが示されています。
この方向性については評価できます。
しかし、今回のように議長・副議長の選任をめぐる金銭授受など、議会内部の権力関係そのものが問題となっている場合には、制度を作る過程についても、県民から見て公正性・中立性に疑念を持たれない仕組みが必要です。
特に、今回の疑惑に関係する可能性がある議員や、当時の正副議長選出に関係した議員が、政治倫理制度の具体的な設計に関与する場合には、利益相反を避けるための明確なルールを設けるべきです。
政治倫理を審査する制度だからこそ、審査だけでなく、その制度を作る過程についても「公正である」と県民が納得できる仕組みが必要です。
6 今回の条例を「信頼回復のための出発点」にしてほしい
私は、政治倫理条例そのものを否定しているわけではありません。
むしろ、今回の一連の問題を契機として、福岡県議会が政治倫理を明確にし、県民から信頼される議会へと変わるための制度を作ることは重要だと考えます。
ただし、そのためには、
「問題が発生したから条例を作った」
という形式的な対応ではなく、
「なぜその問題が起きたのかを徹底的に検証し、その検証結果を制度に反映させた」
という姿勢が必要です。
第三者委員会や百条委員会等によって、今後、今回の金銭授受疑惑や海外活動等について新たな事実が明らかになる可能性があります。
その結果によっては、今回の条例案そのものを見直す必要が生じる可能性もあります。
したがって、条例の制定を急ぐのではなく、少なくとも現在進められている調査結果を踏まえて、必要な修正を行える仕組みを明確にしていただきたいと思います。
最後に
政治倫理条例の本当の価値は、条例が存在することではなく、権力を持つ側に対しても例外なく適用され、県民が「この議会なら自らを律することができる」と信じられることにあります。
今回の疑惑について、仮に第三者委員会や百条委員会等の調査によって金銭授受等の事実が明らかになった場合に、
「条例施行前の行為だから対象外」
「1年以上前の行為だから審査できない」
ということになれば、県民から見て政治倫理条例そのものの実効性に疑問を持たれることになります。
そのようなことがないよう、
1.現在調査中の事案を条例上どのように扱うのか
2.条例施行前の行為を、後日判明した事実に基づいて審査できるのか
3.審査請求の1年という期間制限をどう考えるのか
4.「正当な理由」の具体的基準をどうするのか
5.政治倫理審査会及び条例制定過程の独立性・公平性をどのように確保するのか
を明確にした上で、県民の信頼に足る政治倫理条例としていただくことを強く求めます。
政治倫理条例は、議会を守るための条例ではなく、県民の信頼を守るための条例であるべきです。
今回の一連の問題を曖昧に終わらせることなく、真相を明らかにし、その結果を今後の制度改革に確実につなげることこそが、福岡県議会の自浄能力を示すことになると考えます。
2026.9.29 |